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なぜゴミ屋敷に? 原因・理由から住人の心理、対策まで考察

なぜゴミ屋敷に? 原因・理由から住人の心理、対策まで考察

メディアなどで扱われることも多い、俗にいう“ゴミ屋敷”は、なぜ生まれてしまうのでしょうか。
大なり小なりその規模、程度は異なるにせよ、深刻な問題であることは確かです。

「気付いたらゴミが増えていた」「モノを捨てられない」「ゴミの分別が難しい」……。
これらに限らず、おそらくさまざまな原因・理由があるように思います。

本記事では、住居がゴミ屋敷と化してしまう現象に対して諸々考察を述べつつ、対策方法にまで言及します。

ゴミ屋敷が生まれる原因・理由

徐々にゴミ屋敷と化す様子
なぜゴミ屋敷になってしまったのか。その原因・理由を一つに絞ろうとしてはいけません。
元来の無頓着な性格が災いした結果もあれば、几帳面な方や整理整頓が上手な方でも、環境の変化一つでたちまち部屋がゴミに支配されるようになったケースも考えられます。思いもよらないことが引き金となり、ゴミの嵩む生活へと転げ落ちてしまった方もきっといらっしゃるはずです。

いずれにせよ、ゴミ屋敷が生まれてしまう背景は、そう単純ではないでしょう。ケースバイケースで起き得る現象、あるいはあらゆる因果が重なったせいと捉えるのが自然かもしれません。
そうはいってもやはり、主たる原因・理由は存在します。
以下、一つずつ挙げていきましょう。

モノを買いすぎてしまう

趣味のショッピングが高じて、歯止めがきかなくなった挙句、部屋がモノで溢れてしまうケースです。
モノが増え続けた結果、片付けられなくなり、いつの間にかゴミ屋敷へと化すパターンといえるでしょう。
買い物自体はもちろん問題ありません。しかし、過剰であればたちまち収納が追いつかなくなることは容易に想像できます。
新しいモノがリリースされればすぐに購入する癖も問題です。
自覚のうえ、どこかのタイミングで習慣を断ち切らなければなりません。

モノを捨てることに抵抗感を抱く

モノを捨てることに抵抗感のある人は、少なからず存在します。いわゆる「もったいない精神」が働く方です。
モノを捨てられずそれらを溜め込んだ結果、当然ながらゴミ屋敷は生まれます。

世代間の価値観もあってか、特に年配の方が陥りやすい現象です。
モノに対する愛着心が強いばかりに、そもそも使う機会がないにもかかわらず、捨てる行為のできない方もいらっしゃいます。
彼・彼女らは、長年着ていないサイズの合わない服や賞味期限がとっくに切れた食べ物さえもったいないと感じてしまうようです。

もちろん、買い物同様、「もったいない精神」自体悪いことではないはずです。
物資が豊かになっても贅沢をせず、使えるモノは最後までしっかり使う意識は非常に大切だと思います。
そうはいってもやはり、家の中の収納で対処しきれないモノは速やかに廃棄すべきです。
しかし、そう易々と説得できる問題でもありません。詳しくは後述しますが、ゴミ屋敷を生む住人の「もったいない精神」は、きわめて根深くデリケートです。

不規則な生活が当たり前になる

日々のサイクル、生活習慣がゴミ屋敷を生む大きな原因になることもあります。
典型的な例を挙げると、仕事が夜勤になった都合や残業続きで平日、家に帰れなくなった場合などです。
いつでもまとめてゴミを出せれば問題ありませんが、曜日ごとに指定されるゴミの種類や時間帯など地域のルールに対してうまくゴミ出しのタイミングが合わないと、出せないゴミ袋が溜まっていく一方でしょう。そもそも毎日仕事で忙しく、掃除・片付けの時間を取れない状況に堕すれば、部屋がどんどん荒れていくのも仕方ありません。

積みあがるゴミ袋に加え、コンビニ弁当の空箱が散乱し、悪臭や害虫なども発生。そこまでいくと、ゴミが家の中全体を覆わずとも、それはもう立派なゴミ屋敷といえます。
そして、もっとも怖いのは、その光景に慣れてしまうことです。
不規則な生活が原因であらゆる習慣がねじ曲がったとき、自身の感覚も同じように歪んでいきます。つまり、それが当たり前になるわけです。
おそらくゴミ屋敷に住む当の本人たちは、そこが“ゴミ屋敷”であるという自覚や認識をさほど持っていないかもしれません。それゆえ、さらにエスカレートしていくのでしょう。

過度なストレスで無気力になる

不規則な生活が理由であるケースと同様に、過労や育児によるストレスもまた、間接的にはゴミ屋敷化の一因になり得るものだと考えます。
多忙を極めるなか無理を強いたせいで、肉体的に支障をきたすことはもちろん、精神的にも重い負荷が掛かれば、途端に気力は失せるでしょう。
悩みが尽きず、何をやるにも辛い状況下では、当然、掃除や片付けも手につくはずはありません。

増えていくモノやゴミをぼんやりと眺めながら過ごした結果、気付けばそのままゴミ屋敷が形成されてしまう悪しき状況は、ストレス社会の現代において決して珍しいことではなく、むしろ日に日に顕在化する大きな問題です。

病気や症状によってゴミを捨てることができない

前述した過度のストレスも含めて、体調に関することが原因で掃除、片付け、ゴミ捨てができない方は一定数いらっしゃいます。

たとえば、一人暮らしの高齢者。
身体的な理由でゴミを捨てに外へ出るのが辛ければ、部屋の中が散らかっていくのは無理もありません。また、体力に限らず、認知症が原因でごみを捨てる判断ができないケースも考えられるでしょう。

注意欠陥や多動症候群を指すいわゆるADHDの障害をお持ちの方も、ゴミを捨てる作業が苦手である傾向にあります。昨今のゴミ出しのルールが細分化、複雑化している流れも拍車をかけて、彼・彼女らに難易度の高さを感じさせてしまっているかもしれません。
「ゴミの分別ができない」「ゴミの日が覚えられない」というなか悪戦苦闘の末、諦めが勝れば、やがてゴミ屋敷ができてしまうのも頷けるわけです。

ゴミ屋敷にしてしまう住人の心理・特徴

片付けられない人の特徴
ゴミ屋敷を生む背景におそらく大きく直結するのが住人の心理や特徴です。
いわずもがな、皆が好んでゴミ屋敷を作っているわけではありません。先に触れた通り、身体的な理由や精神的な面も多大に影響している可能性が高いです。
繊細かつ複雑な問題だからこそ、一つの答えに収束させるにはあまりに短絡的かもしれません。そのため考え得る心理状態については、あくまで筆者の想定内と断ったうえで、以下の通り、紐解きたいと思います。

まずモノを買いすぎてしまう方は、いうなれば収集癖の強い人です。その深層心理を探ればおそらく、彼・彼女らはショッピング自体に喜びを得ているのではないでしょうか。たとえ不用品であっても、それを部屋に置くことに意味があるのかもしれません。
一人暮らしなどで誰も干渉してこない環境であればなおさらその傾向は強くあるように感じます。
そして、この状況に拍車を掛けるのが「もったいない精神」です。モノを捨てることへの抵抗感が行き過ぎてしまうと、それはもう正常のそれとは区別する必要があります。実際にアメリカでは、この心理状態を「ホーダー(hoarder)」と呼び精神疾患の一つとして捉えるほどです。
もはや、強迫観念に近い意識が作用しているとも考えられます。
性格の一部に過ぎないと軽視し続ければ、事態は悪化の一途を辿ることになるでしょう。

孤独感や過度のストレスを抱えている場合も同様です。
モノで空間が覆われていないと寂しさが襲ってきたり、仕事・プライベート問わず落ち込む場面が多かったりする状態は、危険信号だといえます。
精神的に弱ってしまっては、定期的に掃除、片付けを行うのは難しいでしょう。
ゴミが溜まっていく状況を目の当たりにしながらパニックに陥る恐れもあります。
結果、ごみの処分自体、放棄せざるを得ない心理状況に堕するのかもしれません。

自身もしくは周囲の方々に対して上記の兆候が見られた場合は、いち早く対策を講じ、改善へと舵を切りましょう。

ゴミ屋敷が及ぼす悪影響

ゴミ屋敷の外観
ゴミ屋敷は、衛生環境をはじめ、さまざまな悪影響をもたらします。
当然、害を被るのは住人だけに限りません。近隣住民も十分に警戒が必要です。

ゴミ屋敷によって発生する害虫や害獣、そして悪臭は、病気やアレルギーをいとも簡単に引き起こします。日常生活に支障をきたすのは目に見えて明らかです。住人が家族で暮らしている場合、特に小さなお子様がいれば、なおさら大きな問題へと発展する恐れがあります。
一方で隣家の方も、「窓を開けられない」「洗濯物を干せない」といった状況に追い込まれるため大変です。

また、ゴミ屋敷では、火の元の不備、不始末によって火災が起きやすい傾向にあります。たとえば、コンセントと電源プラグの隙間に溜まったゴミや埃が湿気を帯びて通電とともに発火する事故(トラッキング火災)などは比較的多く見受けられるトラブルです。このとき、隣家まで巻き込まれてしまう話も珍しくありません。

ゴミ屋敷であるがゆえ、ちょっとしたことでも取り返しのつかない災害につながるのが分かります。
こうした事態を避けるためにもやはり、自身・周囲問わず、しっかりと対策を図ることが必要でしょう。

ゴミ屋敷を回避するための対策方法

ゴミ屋敷の改善に勤しむ不用品回収業者
ここまで述べてきたことを踏まえ、実際にゴミ屋敷を回避するにはどのような対策が有効なのでしょうか。
いくつか方法を挙げてみます。

掃除・片付けを誰かと協力して行う

まずは、一人で抱え込まず、誰かと協力して掃除・片付けを行うことです。必ずしも相手は快く引き受けるとは限りませんが、コミュニケーションを取れる方、相談相手がいれば、勇気を持ってお願いするようにしましょう。

逆に協力する側であれば、さらに仲間を呼ぶなりしてコミュニティを広げ、孤立感を拭えてあげられると親切です。それが可能であれば、状況は好転しやすくなると考えます。
ただし、油断してはいけません。同じ過ちを繰り返さないためにも、住人の言い分や心境を適切に掬い取ることも大事です。掃除・片付けの協力と併せて、ヒアリングを重ねていきながらゴミ屋敷が生まれることとなった原因究明まで行えると尚良いでしょう。

市役所に相談する

自治体問わず、近年ゴミ出しのルールはより細かく難しいものへと変わってきています。それゆえ、手に負えないと感じたら市役所へ相談してみるのも一つの手です。対処に際して調査や面談をはじめ、何らかの措置をとってくれると思われます。近隣住民の方も含め、ひとまず状況を変えたいなら、行政へ協力を仰ぐやり方も知っておいて損はないでしょう。

不用品回収業者へ相談・依頼する

いざ自身でもしくは仲間とゴミ屋敷を掃除する場合、少なからずリスクを伴うことも知っておかなければなりません。
ゴミ屋敷となると、当然、片付けは大変です。
怪我をすることもあれば、害虫に刺される、不衛生の環境のなかで体調を崩す、火災が起きてしまう……等々、危惧すべきあらゆる恐れが存在します。

また、市役所などの行政・自治体へお願いする場合も、必ずしもすべてのゴミを処分してもらえるとは限りません。

したがって、安心なのは不用品回収業者への相談・依頼です。
プロだからこそ、いくつもの想定し得る事態、危険性を熟知しています。それらに対する万全のケアや手厚いサポートは、きっと頼りになるはずです。
また、依頼人の要望をうまく取りまとめたうえで、資産価値のあるモノとの分別や、さらには、処分しようとしていたモノが一転、買い取り対象となる可能性も期待できます。

ゴミ屋敷からの脱却に大切なこと

粗大ゴミの集合写真
冒頭でもお伝えした通り、ゴミ屋敷が生まれることは深刻な問題です。
また、本人が当事者でなくとも、ご近所の方や家族・親戚など身近な存在がそうであった場合、当然他人事ではすみません。
可能な限り施策を講じ、打開していく必要があります。
そのなかで、ゴミ屋敷の住人には一筋縄でいかない心理や特徴があるのも事実です。無理に解決を図ろうとすると、多少なりとも繊細な部分に踏み込んでしまう恐れもあります。

一ついえるのは、住人一人の問題にせず、連帯意識で取り組むことが大事だということです。些細なコミュニケーションから職人たちのサービスまで、解決にいたる方法はいくつもあります。だからこそ、社会の課題として一人ひとりが真摯に向き合うことがまずは改善の第一歩といえるかもしれません。

当然、自身の暮らしを省みることも大切です。
すでに悩まれている方、普段から掃除や片付けが苦手で目下不安を抱いている方、何とはなしに気になっている方、自分事としてはまだまだ関心が薄い方……等々、属性問わず日常生活からはどうしても切り離せないテーマだと考えます。
たとえ今は到底理解しがたい話であっても、いつなんどき、誰彼起こり得る問題といっても過言ではありません。

そうこう踏まえて、拙稿が今一度、ゴミの処分・廃棄に対する考え方を見つめ直すきっかけになれば幸いです。